15日目は高知屋からスタート。第34番札所種間寺(たねまじ)と第35番札所清瀧寺(きよたきじ)を納めるます。雨は午前中は降ったり止んだり、午後なって降り始めドシャ降りに。梅雨遍路らしくなってきました。
雪蹊寺(せっけいじ)の門前の高知屋からスタート。70代女性のお遍路さんは一足早くスタートしてました。ちょうど雪蹊寺から重そうな荷物を背負った男性のお遍路さんが出てきた。歳は僕と同じぐらいか?見たところ野宿遍路らしい。早い参拝だな。7時前だぞ!納経所は開いていたのだろうか?彼の少し前を歩いて、次の札所種間寺へと向います。しばらく歩いていると後ろから軽自動車が。「プッ!」と軽くクラクションを鳴らし僕の横に止まった。見ると高知屋の女将さんだ。
「部屋のカギ、もってないですか?」と尋ねられた。
「カギなら出るときにフロントに返した筈ですが。」
「みやたらないんです。何処か別の所に置いたりしませんでしたか?」
「トイレに行くとき。トイレの前の窓の所に置いたかも。」
「確認してみます。」と、帰っていった。
チェックインした時、カギは部屋の中に置いてあったけ。フロントに返すんじゃなく部屋に置いて出るのが正解だったか。
そうこうしてる内に野宿遍路の方に先を越されてしまった。重い荷物を背負って前方を歩く野宿のお遍路さん。大変そうだなと思いつつ歩く・・・しばらくして追いついた。ここは軽く挨拶を交わすだけ。「お先にー。」と、先に行かせてもらった。
午前8時頃、種間寺に到着。ここで先に旅館を出ていた女性のお遍路さんとすれ違う。「お早いですね。」「荷物が少ないもんで・・・。」と、とても70代とは思えない健脚ぶりだ。ここには子育観音を祀った鐘楼のような形の観音堂があります。周りには底を抜いた柄杓が奉納されている。安産祈願らしい。それじゃあ、安産観音じゃないの? 種間寺を納めてしばらくベンチに座って休憩。まだ、雨は小雨程度。雨具をだそうか?ださまいか?迷っていると野宿遍路の兄ちゃんが追いついてきた。参拝を済ませ同じベンチで一休み。
「荷物重そうですね。」と、こちらから声を掛ける。
「野宿してるもんでテントとか炊飯の道具も入ってるから。テントはまだ2回しか使ってないけどね。」
「へえ~。大変そうですね。僕にはできないなあ。・・・ それじゃあ、お先に。」
この時は大した会話もせずに別れました。自炊しているとは筋金入りです。
次は清瀧寺。土佐市街地を通り高知自動車道の下をくぐって登った所にあります。少し雨も降ってきた。ポンチョを着て歩く。種間寺を出て1時間ほど歩くと仁淀川大橋。ここで先を歩いていた女性のお遍路さんの姿が見えた。もうすぐ追いつくな。土佐市街地に入った所で一緒になった。雨も止んでお互い雨具を脱いで一休み。
少し会話して「それじゃあ、先に行きます。お気を付けて」と、また歩きだす。市街地を抜けると田んぼが広がり、そこを抜けると清瀧寺です。ここも結構登らされます。
午前11時、清瀧寺に到着。本堂の横には名前の由来となる滝が流れています。また、雨が降ってきました。ここではバス遍路2組と一緒になった。20人、20人の団体遍路。今までもバス遍路と一緒になる事もあったのだが・・・。晴れの日はいい、雨が降ると雨に濡れまいと、本堂と大師堂の前にはバスのお遍路さんの人だかりが出来ていた。次の参拝者の為に中央はあけて参拝をするのがマナーのはずなのだが・・・ そんなのお構い無し!マナー悪いです。人を掻き分けてお賽銭を入れ読経。清瀧寺の参拝を終えました。土佐市街地で別れた女性のお遍路さんも到着。かなりお疲れの様。ここは戒壇めぐりができます。バス遍路の方に混じって体験させていただきました。
ここで今日泊まる予定の汐浜荘に電話をする。「今日は病院に行くんで休みます。」って、予定が狂った。ここから汐浜荘までは12km。余裕でゆっくり休んでいたのに・・・休業だあぁ!! 国民宿舎土佐まで行くことになってしまった。第36番札所青龍寺(しょうりゅうじ)はそのすぐ近く、うまくいけば「打てるかなぁ?」って、ゆっくりしてはいられない。急いで清瀧寺を後にした。
来た道を戻り土佐市街地へ。途中、車道を挟んでご夫婦のお遍路さんとすれ違う。車道越しだったんで軽く会釈した。土佐の市街地に入ると雨が強くなってきた。そして・・・迷ってしまった。地元の方から道を教えてもらい、とりあえずショッピングモールのサニーマートを目指すことに。着いたのは午後2時、サニーマート内のマックで遅い昼食を済ませる。雨がまた強くなった。県道39号線を歩く。
午後3時を回ったところで、なんとか塚地峠の登り口前の塚地休憩所まで辿りついた。この頃にはドシャ降りの雨。ここに大師の泉を発見。この雨の中、水車を掃除されていました。ご苦労様です。すこし休憩して塚地峠を登ります。峠道はこの雨で川と化していました。「700m」、ここには峠頂上までカウントダウンする案内が100mごとに設置されています。600m、500m・・・300m・・・登りの峠道で雨の量はピークに・・・100m・・・100m、増えた!頂上過ぎると増えていく。ここからは下りだ!・・・300m・・・500m・・・700m・・・900m・・・どこまで行くのか?1200mだったかな?ようやく塚地峠を攻略。雨は小降りになってきた。
県道23号線に入りしばらく歩くと、見えてきた宇佐大橋だ!午後4時30分、宇佐大橋を渡る。青龍寺までもう少し。海岸沿いを歩いて行くとお遍路宿三陽荘が見えてきた。送迎用のマイクロバスが止まっており、とっても大きな旅館です。ここにすれば良かったかな?ここの横から青龍寺への遍路路が延びています。納経時間に間に合うかな?ここまで来たら行くしかない。いざ、青龍寺へと急ぐが・・・ 間に合わなかった。午後5時15分着。あきらめて国民宿舎土佐へと向う。ここから奥の院不動堂へ向う遍路道があるはずだが・・・見つからなかった。そこを通れば旅館まで近いのに。仕方なく来た道を戻り車道を歩く。さらにこの国民宿舎、青龍寺より高い所にある。今日一番の難所だ。フラフラになりながら旅館に着いたのは夕方6時30分。すぐに夕食です。
部屋に荷物を置きグッショリ濡れた服を着替え、すぐに食堂へ。食堂からは太平洋が見渡せます。「冬場の空気が澄んだ日には室戸岬と足摺岬、両方見ることが出来るんですよ。」と旅館のスタッフ。食事を終えて風呂に入る。ここはやっぱり展望露天風呂。太平洋を見ながらの風呂は格別です。展望露天風呂をひとりで独占していると、ひとりのおじさんが入ってきた。「ここまで歩いて来たの?若い人は元気だね。」って、どこかでお会いしましたっけ?!「清瀧寺に向う途中すれ違った・・・。」あっ!あの時すれ違ったご夫婦のお遍路さんだ。バスなどの公共交通機関を使って回ってるらしい。風呂から上がって部屋に戻るとまた知った顔が。今日の朝出会った野宿遍路の兄ちゃんだ。ここは相部屋だと素泊まりで2500円で泊まれるらしい。8人の相部屋なのだが、他に相部屋の宿泊客がいない為、独り占め。部屋にお邪魔し、しばらく話をする。
静岡県から来たIさん。前にも書いたとおり野宿でお遍路を回っている。6月25日からスタートしたって言ってたかな。昨日は雪蹊寺の通夜堂で一夜を過ごしたのだとか。「通夜堂借りるのに30分もトイレ掃除させられたよ。」だって。歳は同じぐらいと思っていたけど若干年上みたい。そうこうしゃべっていると、またまた見た顔が・・・ 昨日、宿が一緒だった70代女性のお遍路さんだ。ここまで歩いて来たのか!?
「すごいですね。ここまで歩いて来られたんですか?」と僕。
「はい。すごい雨でしたね。途中、バスを使ってズルしちゃいましたけど。」
「塚地峠を超えてきたんですか?」とお遍路Iさん。
「いえ、トンネルを通りました。」
「私もトンネル通ってきましたよ。雨が降ってたんでトンネルの中が快適で歩き易かったですね。」
二人ともトンネル通って来ていた。峠越えをしたバカは僕だけか!
「僕は塚地峠の遍路道を通って来ましたよ。休憩所から入るヤツ。道が川になってて大変だった。」
「私も迷ったんですけどね。出来れば遍路道を行きたかったんですが。雨も強くなって荷物もあるし・・・ 塚地峠は難所と聞いてたから。」
Iさん、正解です。雨の日はなるべく峠道は避けましょう。
部屋に戻り濡れた服をコインランドリーで洗濯。新聞紙がなっかたので部屋のティッシュを靴に詰めて乾かす。明日の準備はOK。今日は予定より少し先に進んだので明日の朝はゆっくりしよう。ここは朝7時から温泉に入れる。明日は温泉に浸かって朝8時にここを出る事にしました。これにて就寝。
*このブログは四国遍路の回想記です。記憶違いで若干事実と違っている場合があります。